本記事の目的

共通テスト倫理で高得点が取れないよ……。教科書の思想家やキーワードは一通りおさえたのに!
太郎君のような人、きっと受験生の中にもいますよね。「なんで共通テスト倫理で高得点取れないんだろう……」「共通テスト倫理は8割取って逃げ切りたいのに……」みたいな人、きっといると思います。このコーナーでは共通テスト倫理で9割を目標にして、どのように取っていくべきなのかを徹底的に解説したいと思います。
問題
問1 難易度★★★☆☆
次の文X~Zは、それぞれある心理学者の考えを説明したものである。
X~Zの文が説明している人物の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。
X
人間の行動は、単なる生存のための衝動ではなく、より高い充実や成長を求める内的な方向性に導かれていると考えた。より基礎的な満足が得られるごとに、人は次なる目標へと心を向けていくとされた。
Y
人間の心の奥には自ら意識できない領域が存在し、そこに抑え込まれた欲望や不安が働きかけていると考えた。そうした衝動が自我と衝突したとき、人は無意識のうちに自己を守る仕組みを働かせるとした。
Z
人間は生涯を通じて自我の発達課題に取り組み、とりわけ青年期には「自分は何者か」という問いに直面すると考えた。その問いに応え、アイデンティティを確立することが、この時期における最も重要な課題であるとされた。
① X:マズロー Y:フロイト Z:エリクソン
② X:マズロー Y:フロイト Z:オルポート
③ X:マズロー Y:レヴィン Z:エリクソン
④ X:マズロー Y:レヴィン Z:オルポート
⑤ X:アドラー Y:フロイト Z:エリクソン
⑥ X:アドラー Y:フロイト Z:オルポート
⑦ X:アドラー Y:レヴィン Z:エリクソン
⑧ X:アドラー Y:レヴィン Z:オルポート
問2 難易度★★☆☆☆
次のA~Dのうち、「接近-回避型の葛藤」の具体例として最も適当なものを、
下の①~④のうちから一つ選べ。
A
課題を終わらせなければと分かっていても、机に向かう気力が湧かない。
やめてしまえば叱られることもわかっており、心のどこにも逃げ場がないように感じる。
ため息ばかりが増え、気づけば何も手をつけないまま日が暮れてしまう。
B
長く続けてきた部活動で結果が出ず、自分への信頼を失った。
仲間の励ましにも耳を傾けられず、練習に行こうとすると体が重くなる。
努力の意味を見いだせなくなり、ただ惰性のように日々を過ごしている。
C
高校3年生の彼は、第一志望の大学に進めば憧れの研究に打ち込めると期待している。
だがその道は決して平坦ではなく、厳しい授業や経済的な負担を思うと、心のどこかでためらいを覚える。将来への希望と現実への不安が入り混じり、願書を出す手を何度も止めてしまう。
D
久しぶりに家族と過ごす休日、昔からの友人からも同じ日に誘いが届いた。
どちらの約束も大切で、どちらを選んでも片方を失う気がして気持ちが落ち着かない。
時間が過ぎるほどに選べない自分を責めながら、結局どちらにも返事を出せないまま夜を迎える。
① A
② B
③ C
④ D
正答:③
解説:レヴィンの葛藤論からの出題。それぞれの文章から葛藤の類型を見分ける必要がある。
A:「回避-回避」型の葛藤である。「勉強はしたくないが、赤点も取りたくない」という葛藤を抱いている。よって誤り。
B:これは葛藤ではなく、「失敗反応」と呼ばれるものである。自らの欲求不満に対して解消ができなかったときの反応である。よって誤り。なお、共通テストでは防衛機制の他に「近道反応」「合理的解決」「失敗反応」を区別する問題も出題されている。
C:「接近-回避」型の葛藤である。よってこれを選べればよい。
D:「接近-接近」型の葛藤である。「~~したいけども、~~もしたい」という葛藤である。よって誤り。
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問3 難易度★★★☆☆
次のA~Dのうち、防衛機制の「反動形成」の具体例として最も適当なものを、
下の①~④のうちから一つ選べ。
A
大学受験に失敗した直後、彼はその出来事を友人の前で一切話そうとしなかった。親から「もう少し頑張ればよかったのに」と言われても、どこか他人事のように微笑みを浮かべるだけで、心の奥の痛みを口にしない。次第にその出来事そのものを思い出すことすら少なくなり、悲しみも悔しさも感じないように思えていたが、夜中になると理由もなく胸が苦しくなることがあった。
B
同じクラスの女子生徒に対して、彼はなぜか強い違和感を抱いていた。彼女が近くにいると無意識に冷たくあしらい、わざと皮肉を言ってしまう。しかし帰宅後、ふと彼女の笑顔を思い出すと胸がざわつき、そのたびに自分の行動に戸惑いを覚える。周囲からは「苦手なタイプなんだね」と言われるが、本人も気づかないところで、抑えきれない好意が真逆の態度としてあらわれていた。
C
模試の結果が思わしくなかったとき、彼は「そもそもこの試験は傾向が違うから仕方ない」と友人に言い訳した。本当は自分の勉強不足をわかっていながらも、心のどこかで失敗を受け入れたくない気持ちが強かった。「自分が本気を出せばもっとできる」と考えることで、悔しさを感じずにいられるようにしていた。
D
失恋してからというもの、彼はしばらく誰にも心を開けなかった。しかし次第にその寂しさを力に変えるように、受験勉強に没頭し始める。「努力すれば報われるはずだ」と言い聞かせ、悲しみや焦燥を原動力に勉強を続けた。その姿は周囲から「見違えるようだ」と言われるほどで、彼自身も少しずつ前向きな感情を取り戻していった。
① A
② B
③ C
④ D
正答:②
Aは「抑圧」の具体例である。不安を無意識に抑え込んでいる様子が描写されている。
Bは「反動形成」の具体例である。抑圧した欲求と反対の行動をとっている。
Cは「合理化」の具体例である。もっともらしい理由をつけて正当化している。
Dは「昇華」の具体例である。欲求を高い価値の欲求に置き換えて満足している。
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