【ゼロから高校倫理の教科書】ルネサンス

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高校倫理
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この記事が対象としている方

  • 大学入試で倫理を使う受験生
  • 定期テストや日常学習で倫理を勉強している高校生
  • ルネサンス期の人文主義や人間中心主義を体系的に理解したい人

【この記事のキーワード】
ルネサンス、人文主義、ヒューマニズム、レオナルド=ダ=ヴィンチ、ミケランジェロ、ピコ=デラ=ミランドラ、マキャヴェリ、トマス・モア、エラスムス、人間中心主義

 中世の神中心の世界観から、人間自身の理性や感情に光を当てたのがルネサンスです。共通テスト倫理では、この「人間とは何か」をめぐる転換点が頻出です。この記事では、ルネサンスの思想的特徴と代表的な人物を整理し、入試で問われるポイントを体系的に理解していきましょう。

例題 ―このレベルの問題が解けるようになればOK!

 次の文章X~Zは、ルネサンス期の人物に関する記述である。それぞれの記述に該当する人物の組合せとして、最も適切なものを下の①~⑥のうちから1つ選べ。



人間は他の被造物のように定められた本性をもたず、自らの意志と努力によってその在り方を形づくることができる存在であると考えた。この見方において、人間の尊厳はその自由な選択と自己形成の可能性に基づくとされた。


政治を宗教的・道徳的基準から切り離し、人間の現実的な行動や心理を出発点として統治を考察した。為政者には、時に力や策略を用いる柔軟さが求められるとし、政治を理想ではなく現実の力学として捉えた。


絵画・彫刻・建築・解剖学・自然科学など、幅広い分野で才能を発揮した。『モナ・リザ』や『最後の晩餐』などの作品において、人間の内面と自然の調和を追究し、芸術と科学の統合をめざす「万能人」としてルネサンスの精神を体現した。


① X:ミケランジェロ Y:マキャヴェリ Z:レオナルド=ダ=ヴィンチ
② X:ミケランジェロ Y:マキャヴェリ Z:トマス=モア
③ X:ミケランジェロ Y:エラスムス Z:レオナルド=ダ=ヴィンチ
④ X:ミケランジェロ Y:エラスムス Z:トマス=モア
⑤ X:ピコ=デラ=ミランドラ Y:マキャヴェリ Z:レオナルド=ダ=ヴィンチ
⑥ X:ピコ=デラ=ミランドラ Y:マキャヴェリ Z:トマス=モア
⑦ X:ピコ=デラ=ミランドラ Y:エラスムス  Z:レオナルド=ダ=ヴィンチ
⑧ X:ピコ=デラ=ミランドラ  Y:エラスムス   Z:トマス=モア

正答はこちらをクリック!

正答:⑤

解説はこの記事をチェック!

人文主義 ― 神中心から人間中心へ

 ルネサンスとは、中世末期から近代初期にかけてヨーロッパで起こった文芸復興の運動です。古代ギリシア・ローマの文化を再評価し、神中心の世界観から脱却しようとしました。これを支えた思想が人文主義(ヒューマニズム)です。

 ペトラルカ(『カンツォニエーレ』)、ボッカチオ(『デカメロン』)、ダンテ(『神曲』)といった文学者たちは、人間の感情や理性を率直に描き出し、宗教的束縛を越えた新しい人間像を提示しました。こうした表現は、「人間の再発見」というルネサンスの精神を象徴しています。

世界と人間の発見 ― 芸術と科学の融合

 ルネサンス期は「世界と人間の発見」の時代と呼ばれます。カトリック教会の権威が弱まり、現実世界を自分の目で観察しようとする姿勢が生まれました。芸術家たちは人間や自然を科学的な観察に基づいて描き出します。

  • レオナルド=ダ=ヴィンチ:『モナリザ』『最後の晩餐』。芸術と科学を統合し、人間の内面を精密に表現。
  • ミケランジェロ:『ダヴィデ像』『最後の審判』。人間の力強さと精神性を彫刻に込めた。
  • ラファエロ:『アテネの学堂』。古代と現代の調和を描く。
  • ポッティチェリ:『ヴィーナスの誕生』『春』。神話を題材に人間の美を賛美。

 彼らに共通するのは、人間を創造の主体としてとらえた点です。人間は神の被造物であるだけでなく、理性と才能によって世界を再構築できる存在として理解されるようになりました。

人間中心主義 ― 自由意志と現実主義

 ルネサンスの核心にあるのが人間中心主義です。神ではなく人間を宇宙の中心に据える考え方であり、人間の理性と意志を尊重します。

  • ピコ=デラ=ミランドラ:『人間の尊厳について』で、人間の自由意志を強調。神は人間に善にも悪にもなれる自由を与えたと説き、人間の尊厳の根拠をそこに見た。
  • マキャヴェリ:君主論』で政治を宗教や道徳から切り離し、現実的な政治運営を主張。「目的のためには手段を選ばず」という言葉に象徴される。
  • トマス・モア:ユートピア』で貧困と不正のない理想社会を描き、社会批判と理想追求の両面を示した。
  • エラスムス:愚神礼讃』で教会の腐敗を風刺し、真の信仰と理性の回復を求めた。

まとめ

まとめ

  • ルネサンス:中世から近代への転換期。神中心から人間中心へ。
  • 人文主義:古代文化の復興と人間の尊厳の重視。
  • 芸術:科学的観察と人間描写の融合(ダ=ヴィンチ、ミケランジェロ)。
  • 思想:ピコ=デラ=ミランドラ(自由意志)、マキャヴェリ(政治のあり方)、トマス・モア(理想社会)、エラスムス(教会批判)。

 次回は宗教改革について解説します。ルネサンスで芽生えた人間の理性と自由が、宗教の世界にどのような変革をもたらしたのかを見ていきましょう。

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