本記事の目的
本記事では、2024年に旺文社から出版された『公共,倫理 集中講義』のレビューをしていきたいと思います。
書籍名:『公共,倫理 集中講義』
関連科目:公共、倫理

どんな参考書なの?
この集中講義シリーズでは、共通テストで出題される可能性の高いキーワードなどについて、短い期間で記憶することを目指しています。重要な語句は赤色で書かれているため、赤シートで隠しながら知識をすぐに確認することができます。スキマ時間で少しずつ覚えていくのにも向いていますが、試験前に必要なところをすぐに確認できるところも魅力です。
また、現課程では「公共+倫理」「公共+政治経済」のように、倫理を選択していても政治経済の分野を勉強する必要が必ず生じます。この集中講義がよくできている理由の一つが、「公共でねらわれる内容を的確に絞っている」というところです。実際、2025年の共通テストでも収録事項がことごとく出ています。
さて、本書の特徴を説明していきましょう。大まかに言えば、下の通りに進んでいきます。
- インプット:2ページ程度の文章を読み、知識を覚える
- 「ここが共通テストのツボだ!」:共通テストの頻出事項を図解付きでわかりやすく説明
- 基礎力チェック:共通テスト/センター試験の問題で基礎的な知識のチェック
- チャレンジテスト:共通テストの問題を解き、難易度の高い問題を解けるようになる
まず、インプットからですね。基本的に必要十分な知識量しかないので、これらを覚えておけばセンター試験のような正誤問題には一通り対応できるでしょう。共通テストであっても正誤問題は出題されるので、高得点を狙うためには本書の内容が頭に入っていれば十分でしょう。
しかし、文章でのインプットだけでは対応できなかったり、イメージが難しい知識などもあります。そのような知識については、「ここが共通テストのツボだ!」で丸々1ページを用いて丁寧に解説しています。この説明がとても丁寧なため、初学者にも強くオススメできます。
基礎力チェックやチャレンジテストについては、基本的に本番の問題を利用しているので、共通テストで出る形でアウトプットできることが他の参考書より優れています。また、この手の参考書にしては問題量が少し多いです。そのため、さまざまな出題方式で知識を確認できるところも魅力です。解説も簡潔な割にわかりやすく説明されているところも良くできています。
そのため、倫理に時間をかけられない方にはとても刺さる参考書です。大学入試に出る形のままインプット・アウトプットができるうえ、赤シートにも対応しているので、スキマ時間を有効に使うことができます。
向き不向きは?
この参考書をオススメできるのは、高校倫理の基本的な知識を効率的に確認したい人です。逆に言えば、もうすでに高校倫理の基本的な知識を身につけている人には向いていません。この参考書が必要ないレベル(共通テストの得点が90後半)であれば、もはやこの参考書は確認用に使うぐらいで十分です。他の科目(世界史、英語など)に時間を使った方が良いでしょう。
また、一問一答のみで大学入試(とくに個別試験)に対応することは100%できません。そのため、別に共通テストの過去問題集や個別試験の過去問を解く必要が出てきます。あくまでも基本的な知識を確認するために用いるべきでしょう。
さらに言えば、倫理を個別試験で使用する方々にはこの参考書だけでは足りません。そのような例はあまりありませんが、筑波大志望で倫理を使用する方は教科書や資料集も参照した方が良いでしょう。なお、倫理にもさまざまな出版社が出している一問一答シリーズがありますが、共通テスト対策という意味ではあまり強くはオススメできません……。
共通テスト対策であれば、本書か、『蔭山の共通テスト倫理 改訂版』が一番刺さりが良いでしょう。これについては講義形式が良いのか、まとめノート形式が良いのかという好みの問題もあるので、書店でぜひ手に取ってみてください。
まとめ
本書は共通テスト対策ではすごく大きな効力を発揮します。その向き不向きを理解して正しく使えるのかが受験の合格に直結します。自分に合った参考書をぜひ探してみてください。この記事がその一助になれば幸いです。
では、次の記事でお会いしましょう!






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